会期:2024.04.23-04.28 会場:Hutan Kota by Plataran, Jakarta
「アートジャカルタ」(Art Jakarta)は、東南アジアの現代アートギャラリーを中心に、毎年ジャカルタで開催されているアートフェア。アートフェア東京の様に、大きな屋内スペースでインドネシア国内外のギャラリーが集結する「アートジャカルタ」(Art Jakarta)そして、2022年からはそれに加えて、屋外展示を中心とした「アートジャカルタガーデンズ」(Art Jakarta Gardens)の2つが開催される様になった。

今回のアートジャカルタガーデンズの会場Hutan Kota by Plataran, Jakartaは、首都ジャカルタの中心地スナヤンにある、近年再開発された広大な公園とレストランなどが併設された場所。公園内にあるイベントスペースに立体作品が点在し(28件)、園内を散策しながら作品を見ることができる。また、2つの大きなテントが建てられ、そこでは平面作品を中心に、主にインドネシア国内の現代アートギャラリーが出展していた。カフェスペース、野外ライブステージも出現しており、パフォーマンスやギャラリートーク、音楽イベントなども開催していた。屋外のため日中はかなりの暑さになるが、エリア内を散策しながら時折涼しいテントスペースの展示を見たり、レストランで休憩したりしながら回ることができる。
作品数はアートジャカルタの4分の1程度。23のギャラリーが出展。たくさんのギャラリーと作品を一同に介してセールス中心で見るというよりは、アートジャカルタガーデンズは散歩ついでに現代アートでも見ましょうかという、「入り口」という感じだろうか。客層は公園内のためか家族連れが多い印象で、小さな子どもたちの姿もよく見かけた。日本ではなかなか休日に子連れで現代アートフェアに出かけようとはまだまだならないと思うが、都会の真ん中で休日に気軽に家族連れで現代アートを鑑賞するきっかけになるイベントなのではないだろうか。
チケットはアートジャカルタ同様に事前にウェブ上で取得する。入場時間が緩く分けられてはいたが、特段チェックは厳しくなさそう。アートジャカルタのチケット購入をした時と同様に、私の決済は今回も弾かれてしまい、結局受付でQRIS決済した。料金は大人Rp150,000、子どもは身長90cm以上から料金が発生する。インドネシア方式だった。

屋外作品の中でも目を引いたのは、ISA Art Galleryから出品されていた、Bandu Darmawan(バンドゥ・バルマワン)(1989 – )の《Portable Echo Chamber》(2024)という作品。
バンドゥ・バルマワンは、バンドン工科大学美術デザイン学部インターメディアアート科を卒業した、バンドン在住のマルチメディアアーティスト。最新のテクノロジーを積極的に作品に落とし込み、実験的な作品作りをしているようだ。
今回出品されたこの作品は、キャッチーで不気味で近寄りがたく、今にも起き上がりそう。それでも怖いもの見たさで目が離せない。何かが起きるかもしれないという期待感と少しの恐怖、ふと冷静に周囲を見てみると賑やかな公園に放置された恐らく男性の足に漂うすごい場違い感。そうしてずっと眺めていると、時折この足は不意にパタリと動き、そばにいる観客をギョッとさせる。一緒に連れて行った息子はこの作品を何度も見て、怖いながらも見たい触りたいと興味津々、倒れているおじさんを助けなくてはと話しかけたり夢中だった。面白いのが、足だけしか見えていないのに、息子がこの足を「おじさん」と表現していたこと。まだ3歳ながら、服装によるおおまかな男女の区別が、教えもしないのに知らず知らずのうちに染み込んでいる。

屋内作品で目を引いたのは、ROHから出品されていたAurora Arazzi オーロラ・アラッツィ(1997 – )の《Garden》(2024)と、Luqi Lukman ルキ・ルクマンの《soft memoire(lembut di lampau)》(2024)で構成された展示。私はサラ・ジーのような、日常に溢れる些細な小さなものたちが織りなす壮大な作品が大好きで、今回の彼らの作品は、そんな世界観が限られたスペースにコンパクトに表現されていたと感じた。子どもの遊びの延長の様な、小さな世界の集合体が、一人のアーティストではなく、別のアーティストと連結されて展示されていたのも面白いと感じた。

他の出展ギャラリーも売り切れになっているところも多々あり、ジャカルタのアートマーケットが今後ますます活発になっていくのだろうという勢いを感じた。次回の箱型アートジャカルタは2024年10月開催。前回は回るだけで精一杯だったが、だんだんとジャカルタ近郊の主要現代アートギャラリーも把握できてきたので、インドネシアの現代アート作家をもっと勉強してから挑みたい。


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